Introduction to Craftbeer for bartenders@横浜ビール2階,驛の食卓

日本地ビール協会の加治さんPresents,講師は小畑さんで行われた初の試み.
バーテンダーのためのクラフトビール講座」

この日集合したのは10名.
小畑さんが作成された冊子が配られて
・ビールって何?(ビールの歴史,ビールの定義)
・ビールの原料について
・ビールの種類(スタイル)について
・ビールの味わい方(色・香・味)これらの内容を30分強伺った後に実際の試飲をしながらビールのスタイルを勉強していきました.

ビールの原料である,麦芽,ホップ,酵母についてはそれぞれ現物を持参して下さったので,間近で見ることができました.

21種類のビールを試飲して,その後には
・注ぎ方による違い
・グラスの形状による違い

そして,何よりも大事な
「おいしいビールを提供するために守るべきこと」
のお話を伺いました.守るべきは以下の3項目.
・要冷蔵を守る
・日光を避ける
・鮮度に気を付ける
3つ目の鮮度については賞味期限のことですが,全てのビールに当てはまるとは限らないもののやはり「早めに飲んだ方がおいしいビール」というものも存在するのも事実で.

3時間ちょっとの講座でしたが,簡潔にまとめられている中にも盛りだくさんの内容で非常に勉強になりました.
以下は,21種類の試飲ビールの感想になります.
また,小畑さんのガイドに沿った感想も多分に含まれています(長文です).

1.「クラシックスタイル・イングリッシュ・ペールエール
ブリマーブルーイング,ESB(神奈川)
少し濃いめの色合いで,麦芽を焦がしてはいないことが分かる色合い.イギリスホップの控えめな華やかなや少し麦の香も感じられます.
やや苦めで,麦の甘みはそこまで残っていないという印象.

2.「イングリッシュスタイル・インディア・ペールエール
横浜ビール,イングリッシュIPA(神奈川)
昨今のIPAらしいIPA.ホップの香りは強くて花のような柑橘系の果物のような香りです.麦の甘みも割と感じますが,温めると苦味もしっかりと感じられるようになります.

3.「クラシック・アイリッシュスタイル・ドライスタウト」
ビアへるん,スタウト(島根)
「へるん」は「先生」という意味だそうで.香ばしいココアのような,チョコレートのような芳ばしい香りがします.すっきりとした味わいで,少し温まってもおいしくいただけます.

4.「ボヘミアスタイル・ピルスナー
横浜ビール,ピルスナー(神奈川)
クリアな金色で,優しいドイツホップのキャラメルのような香りがします.ボヘミアスタイルはデコクションという横浜ビールの醸造長が代々こだわった作り方だそうです.デコクションは一部をかなり温めることで,色もやや濃いめになるそうです(全体を均一に温めるのがインフュージョン法).大手四社のビールではプレミアムモルつがデコクション法で作られているとのこと.デコクション法では,もったりとした甘さがビールにつくそうです.醸造長の一押しがピルスナー,というように,麦の穂の香が口に広がる丁寧な作りのピルスナーだと思います.

5.「南ドイツスタイル・ヘーフェヴァイツェン/ヘーフェヴァイスビア
横浜ビール,ヴァイツェン(神奈川)
ヴァイツェン酵母はバナナやクローブのような香りが特徴です.このビールに限って言えばクローブの香が強めです(多少は温度に依存するようですが).泡のきめ細かさは小麦に由来しています.少し温めるとデザートみたいにいただけるビールです.

6.「ジャーマンスタイル・シュバルツビア」
ベアレン,シュバルツ(岩手)
麦の甘い香りがします.泡まで黒い!やや炭酸が強めだと私は思いましたが甘くてすっきりして,飲みやすいですね.

7.「バンベルクスタイル・ラオホビール」
ハーヴェストムーン,スモークエール(千葉)
透明感のある色はろ過装置を使用しているから,とのこと.ろ過すると酵母を除去してしまうので,火を入れなくても長持ちします.昔ながらのやや濃いめの褐色というのでしょうか.そんなビールの色です.燻製の香が強くて,ホップの香はそこまで感じられません.燻製ものと一緒に味わうとまたおいしいらしいので,自宅では燻製ものを用意して飲みましょう.

8.「ベルジャンスタイル・ホワイト/ベルジャンスタイル・ウィート」
ハーヴェストムーン,ベルジャンスタイル
ここの醸造所のポリシーは「続けて何杯でも飲めるビール」とのこと.このビールもやはりろ過しているのでクリアできれいな色です.フルーティな香はオレンジピールコリアンダーに由来しているようです.優しい味わいで苦味もほとんど感じませんが,奥にほんの少し,スパイシーな苦味も隠れています.

9.「ベルジャンスタイル・ダーク・ストロングエール」
シメイ,レッド(ベルギー)
昔から一番よく作られている昔ながらの赤い色が美しいですね.醸造酒らしいリンゴ酸も感じられて,ある意味リンゴビールのようにも感じられます.泡もきめ細かくて苦味も控えめ.フルーティではあるけれどコクのあるビールです.ちなみに泡がきめ細かくなるのは「小麦が入っているか,ホップが大量に入っているか」のどちらかだそうです.

10.「フランダース/アウトブライン(オールド・ブラウン)エール」
リーフマン,グーデンバンド(ベルギー)
非常に複雑な味わい.ブランデーのようでもあります.酸味も感じられて,ある意味漬物のような発酵食品の発酵感もあります.

11.「ストロング・ゴールデンエール」
デュベル・モルガット,デュベル(ベルギー)
小麦も使用しているので,明るい色!豊かな泡!が特徴です.甘くて華やかな香り.度数の割に軽くて甘みのあるビールですね.口から鼻にアルコールが抜けるときに「高アルコールだ!」ということが垣間見えます.

12.「ストロング・ゴールデンエール」
バンホンスブルック,ブリガント(ベルギー)
デュベルよりも濃いめの色合い.甘めで,アルコール感は割と強いように思います.ちなみにブリガントは勇者という意味.

13.「ベルジャン&フレンチスタイル・セゾン」
デュポン,セゾンデュポン(ベルギー)
きれいな金色です.小麦を使っています.冬に作って夏に飲むためホップも多めに入れています.農作業の合間に飲むため,がっつり系ではないビールです.

14.「ベルジャンスタイル・グーズランビック
リンデマン,グーズ・ランビック(ベルギー)
野生酵母の香り,シャルドネを思わせるような印象です.麦の甘みやホップの特徴は一気に消えて,これはもう独立した一つの飲み物といっても過言ではないかもしれません.ベルギーで飲んでいたランビックが懐かしくなります.

15.「ベルジャンスタイル・フルーツランビック
リンデマン,カシス(ベルギー)
ランビックの酸味とフルーツの甘みが絶妙なバランスですね.私自身,ビールの苦みが苦手な人にはこちらを勧めています.

16.「アメリカン・ペールエール
横浜ビール,アメリカン・ペールエール(神奈川)
伝統的なペールエールよりも明るい色合い.華やかなホップの香り.口から鼻に香りを抜くと,麦の香がするのは横浜ビールの特徴でしょうか.

17.「アメリカンスタイル・インディア・ペールエール
ベアード,帝国IPA(静岡)
横浜ビールのアメリカン・ペールエールよりもやや暗めの色.ホップがガツンときいています.さすが,ベアード.そんな苦味の中にも少し甘みも感じられます.口から鼻に香りを抜くと麦よりもホップを感じます.やっぱり,ベアードはおいしいなぁ.

18.「アメリカンスタイル・インディア・ペールエール
志賀高原,House IPA(長野)
明るい色合いとホップの華やかさは他のインディア・ペールエールと同様ですが,ここは自家製のホップを使っているので植物の青臭さのような特徴があります.ボディは重くなく,おいしいIPAだと思います.

19.「アメリカンスタイル・インディア・ペールエール
ヌグネ,ノイ#500(ノルウェー
ヌグネは英語でnaked,ノイは島という意味のようです.伝統的なペールエールの印象ですが,ホップの種類が違うと印象がガラッと変わります.個人的にはトゥオールで感じた「トマトジュースっぽさ」を,こちらでも感じました.ホップが華やかでジューシーは感じもするからでしょうか.
ちなみに,こちらの醸造士の方はノルウェーで初めて日本酒を造った方だそうです.

20.「アメリカンスタイル・インペリアルスタウト」
箕面ビール,インペリアル・スタウト(大阪)
醤油のような真っ黒さ.黒く芳ばしい香りで泡も黒い.インペリアルと名のつくものは基本的には濃いめで,さらにアメリカンとなると,だいぶホップが強くなるようです.甘みもそれなりにあり,これで十分な印象でもあります.ちなみにアサヒのスタウトはインペリアルスタウトに分類されるそうです.

21.「バーレィワイン」
サンクトガーレン,el diablo 2010(神奈川)
我が家でも寝かせているこちら.やはりよい感じの甘みとアルコール感ですね.年によって多少レシピが変わるらしいので,毎年集めてしばらく寝かせてみんなで飲み比べ,というのも面白そうですね.


当初は10種類くらいを予定していましたが,小畑さんがこの講座のために21種類も用意してくださいました.

横浜ビールのものはこちらで作られているものを提供していただきました.お中元の最盛期でお忙しいにも関わらずありがとうございました.

そして,ビールの話だけにとどまらず,それにまつわる様々な話も織り込んで下さり,大変勉強になりました.
本当にありがとうございました.